ごきげんよう

一年中ふとんが恋しい

#華ST感想 を遅刻したけどどうしても書きたかった

ごきげんよう、またごぶさたしてしまいました。

今回は先日見てきた華Doll*の舞台「華Doll* THE STAGE -Another Universe-」の感想がとても140文字ではおさまらなかったので、ここに残そうとした次第です。
自分用の備忘録も兼ねるのですが、この舞台を作ってくださった人たちへの感謝の気持ちをすこしでも、きちんと文字にしておかなければ……という衝動のまま、言葉を連ねています。

残念ながらもう公演期間は終わってしまったのですが、今ならまだ配信のアーカイブに間に合うので、見ようか悩んでいるAntholic……いや、全人類!華STを、見よう!!!!!

 

- - - 以下作品のネタバレをたくさんします - - -

 

 

 

 

 

 

まずこの舞台を見に行こうと思ったきっかけですが、「天霧智紘役 山下誠一郎さんの声の出演があること」を知ったからでした。

早々に自分語りになってしまい恐縮なのですが、わたしはAnthos(6人時代なのでこの表記で…)では眞紘が最推しで、次点でが好きな同い年同室のオタクですが、シンメとしては眞紘凌駕のクリスマスカラーコンビの関係性が好きです。
ここのシンメを好きになったのはもちろん、1st season真ん中あたりから終盤にかけてのハイパーしんどいアレ……眞紘の開花と智紘にまつわる物語が原因です。めちゃくちゃしんどかったのはもちろんですが、華Doll*って作品自体がそもそもしんどさを煮詰めた地獄をおしゃれな曲と共に耳から摂取できるコンテンツですし、二人が智紘との過去を彼らなりに咀嚼し、「ソウルメイト」になっていくまでの物語がだいすきです。4巻を聞き終わった後は「今すぐ5巻を出せ!!!!!」と喚きながら待ったものでした。その後、一番楽しみにしていた6人Anthosが集結するリアルイベントがコロナ禍によりなくなってしまったことで心が折れて、ちょっと距離を置いてしまっていたのですが……これは今回の舞台には関係なさそうで、ちょっと関係ある話なので一応小さく書いておきます。

智紘が出る、ということは……あの地獄も!?そしてそこからの救済も!?あんなシーンやこんなシーンが舞台で見られる!?と思ったところに、アニメイト池袋でのチケット販売イベントがあったので、これは行くしかない……と、一緒に華Doll*を応援していた友人と観劇に行くことを決めました。

……結論から言うと、想像していたあんなシーンやこんなシーンは見られなかったわけですが……それがマイナス要素になることは全くなくて、ものすごくいい「舞台化」だったな!と言える作品でした。「お目当てのシーンは見られなかったのにすごく楽しかった!」と思えたことに自分でもびっくりしたし、そう思えるくらい丁寧に作られていたなって思います。
最初「上演時間は2時間を予定しています」と書いてあるのを見た時、確かに「この尺で1st seasonのすべてを…?おさまるのか……?」とは思ったのですが、「そりゃこんなに丁寧な作り方してたらおさまるはずないし、この舞台はこれが完成形だ……」と噛みしめながら迎えたカーテンコール、の、先で、、あんなものを、見せられ、そんな、どうして、いやそうだよな……そりゃそうだ、ここで終わるなんてそんなはずないから次もあるはずだ、とはいえ、どうして、また、こんな、5巻の発売を待っていたあの頃のことを、思い出させ、、なんでだよ!?!?!?と情緒が狂い、笑いが止まりませんでした。いくら再現度がすばらしい舞台だからってそんな地獄なところまで再現するな!!!!!

すみません取り乱しました、内容についてしっかり触れる前に話は少し遡り、アニメイト池袋でのチケット販売イベントのことになるのですが、その時点ですでに「キャラクターたちが二次元から飛び出してきた」としか形容しようがないようなキャストさんたちの立ち居振る舞いに震えました。あの日からすでにものすごく舞台のことが楽しみになったし、作品ファンに舞台チケットを握らせるには最高の催しだったなと思います。実在性Anthosを前に軽率にチケットを増やさないよう必死になっていたので……(結局複数公演行った)。

 

前置きが長くなってしまいましたが、内容を振り返っていきたいと思います。

まず最初の不穏な夢からのオーディションのシーン、そのあとの日常シーンの再現度に驚きました。
舞台を見た後にCDのドラマパートを聞き返してみてしみじみ感動したのですが、舞台で見たシーンが、そっくりそのまま、瞼の裏で、再生できる……!!すごい……!!逆に舞台を見た時は「初めて聞いた時に頭の中で思い描いていた彼らの姿が、目の前に、ある!!」ってなってました。そうだ、同い年同室の出会いのシーン……にとっては初めての同年代の友達ができるかもしれない瞬間で、眞紘よりもずっと緊張してて……そうだったなぁ……(懐古)

本家の脚本である関さんが参加なさっていたので、その時点で信頼!!だったのですが、舞台の尺で描くには長くなりすぎる部分はうまいことアレンジも入りつつ、原作の風味を損なわないどころか、開花シーンなんかは原作以上に掘り下げをしてくれていて、より彼らの心情への理解が深まりました。

 

今回の舞台の中で、特に印象的だったのはの開花シーンです。
原作ドラマパートだと彼が開花する時、眠るように開花したからか、他のメンバーたちと比べてあまり彼の心情は聞くことができませんでした。なので薫の開花を巡る物語は主にソロ曲の「Breathe」とその特典SSくらいからしか伺い知ることができなかったのかなと思います。
それが今回、きちんと本筋の物語の時間軸に乗せて、リアルタイムで薫の中で起きていたことを見ることができて、「Breathe」が発売されたときのことを思い出してぼろぼろ泣いてしまいました。薫に限らずなんですが、この舞台、特典SSの回収の仕方がうまくてニクいんだよな……あのSS、多分公式にはもう手に入らない?(入手手段増えてたらすみません)のに話のめちゃくちゃ大事な部分を補完している激ヤバ怪文書だと思っているのですが、それをこんな形で供給してくれるのか、なるほどな……と唸りました。

薫の話に戻りますが、Anthosと出会ったことで「この6人で夢の続きを見たい」と願うようになった薫の開花する瞬間――みんなの声にあわせて舞台一面に勿忘草が咲き誇るさまが、そして光を掴む演出がすごくすごくきれいでした。それでもどこかほんのりと不穏の種が芽吹いていることも匂わせる雰囲気を作れるのはさすが華Dollです。初期ポスターで「MEMORY」を引っ提げていた薫の花が勿忘草(英語でforget me not)、考えすぎであってほしいとしみじみ思った……

オーディションでも薫は「あの頃のわたしのように、生きる事が心細い人たちの心の支えになれたら、と」と話していて、これは如月薫がアイドルであるための核の部分なわけですが……彼がAnthosと出会い、どんなことを考えてアイドルを続けたいと思うに至ったのかをわかりやすく体感することができて、すごくいい体験をできたな……と思います。

 

 

薫のシーンの話ばかりしてしまったのですが、もちろん全編通してものすごくよくて……すこしずつキャストさんたちそれぞれの感想も書きたいので書きます。

 

眞紘役の北出さん、本当に最初に出たビジュアルから150%眞紘でずっとびっくりしていたのですが、動いてしゃべってもずーーーーーっと眞紘で……すこし恐ろしくなるくらいに「眞紘がそこにいた」ので感動しました。
眞紘は真っ直ぐさ・優しさ・明るさの象徴で、Anthosのセンターですが、彼はものすごく危ういバランスで成り立っているなとわたしは感じていて、彼の抱えるその危うさ・気持ちのゆらぎみたいなものも、全部そこにありました。結城眞紘がそこにいた。本当にすごかった。

わたしは山下誠一郎さんが演じる眞紘にもこの独特の「ゆらぎ」があるな、と思っているのですが、眞紘の「センター・赤を担うキャラである」という部分とあの繊細さがどちらかに偏らずに両立するのってものすごくバランスをとるのが難しいのだろうな、と思っていたのにそれを完璧に体現してくださる役者さんでした。

舞台で眞紘を演じてくれたのが北出さんで、北出さんが眞紘と出会ってくれてしあわせでした。本当にありがとうございました。

 

公式サイトのキャスト順でシンメ順に凌駕さん役の三島さん
凌駕さんがこれまた絶妙に、あの……兄貴らしさと、人懐っこさみたいな……この~……伝わる?なんて言うんだろう、この人、頼れるな!と思わせるオーラが溢れ出てました。でも許せないことにはしっかり怒っちゃうし、キメるときはキメる感じがすごく「影河凌駕」でした……。凌駕さんって原作だと意外と茶目っけが強いイメージがあるんですが、舞台だともちろんおちゃめさも残しつつ、でも兄貴成分がマシマシですごくかっこよかったです!
動きももちろんでしたが、台詞の抑揚がものすごくドラマCDで聞いた凌駕さんのそれのまんまで、しゃべる度に感動してました。顔が見えない公演前アナウンスでも一発で「凌駕さんだ……」ってわかったし、台詞まわしがすごかったです。続編でクリスマスコンビの物語を見ることができるのが今から本当に楽しみです……!!

数日過ぎてしまいましたが改めて、お誕生日おめでとうございました!

 

続いて陽汰役の水瀬さん
ものすごく「パワフルな最年少!」を立ち居振る舞いから徹底してらっしゃって、まわりのみんなと比べると最年少だし愛されキャラでかわいいんだけど、同時にすごくストイックで努力家でかっこいい陽汰だったな~って思います!!
自信がないから人一倍努力するし、みんなのことも大切な仲間だと思っているはずなのにどうしても後半は不安な気持ちをずっと抱えている……陽汰の様子を見事に演じてらっしゃって、見ていてずっとずっと苦しかったです……(そういう話なので仕方ないとはいえ……)。開花した面々に対して劣等感を感じているところとか……チセさんが身の上話してるところで、なんとも言えない表情で聞いている……とか……くるしい……
3巻の薫と陽汰のレッスンルームでの会話が本当に大好きなので、絶対に絶対に、水瀬さんが演じる陽汰がたくさん悩んだその先で華を咲かせる瞬間を見たいなって思いました。続編がものすごく楽しみです!!水瀬さんが清瀬くんを演じてるんだな……(?)

 

陽汰とシンメの……薫役の中島さん
薫って多分気を抜くと儚さの方がより強く濃く出てしまうキャラなのかな、と思うのですが、儚く美しいだけじゃなくちゃんと芯のあるしなやかさを秘めているところもしっかり感じられてよかった……。それに薫って悪く言ってしまうと世間知らず……って言葉になるんだろうか、人と人との間で生まれる負の感情みたいなものに染まっていない純粋な人ですが、その白さに全然嘘がなくて、すごく理想の如月薫でした……!
ただ「マイナスイオン担当」でぽやっとしてるだけじゃなくて、強い!大胆!なところも垣間見えてよかった……舞台の中で言うと、記者会見で(`・ω・´)キリッとしてたところとかめちゃくちゃそうだったな~って……
先にも述べた通り開花シーンでBreatheを思い出してずびずび泣いていたAntholicなので、中島さんがツイートでBreatheティザームービーの文言を引用してくださっていてすごくうれしかったです!!

 

続いてチセさん役の徳井さん……本当に、す、すごかった……!!
チセさんって自分の美しさに関して自信満々だし、みんなとの距離感とかもそうですが一歩塩梅を間違えると途端にうざくなってしまう紙一重なキャラだと思うのですが、原作と同じようにマジでず~っとかわいくて憎めなくてかっこよくてキュートなチセさんだった…………すごすぎた…………眞紘とはまた違ったベクトルでずっとびっくりしてました。
「二次元のキャラとしては見ていられるし好きでいられるけど、三次元・現実世界にいるチセさんを受け止められるだろうか?」とか失礼ながら思っていたのですが、そんな心配1ミリも必要ありませんでした。
チセさんの自信満々な姿も、千勢の「認められたい」と足掻く姿も、どちらも完璧に演じこなしてらしてすごかったです。チセさんのことをもっともっと好きになりました!

 

最後に理人さん役の丸山さん
まわりのAntholicたちみんな言ってたんですが、「何?」って聞き返す声もさまもめちゃくちゃ理人さんのそれすぎて、これまた再現度にびっくりさせられました。最初はあんなにツンケンしてるところから、徐々にみんなに心を開いていくさまを、そして眞紘のことをだんだんと認めていく過程を、しっかりじっくり見ることができて、すごくいい時間でした……
薫が原作よりもわかりやすく描かれていたのと逆に、理人さんは舞台だけですべてを拾い切るのはちょっと難しいキャラだったろうな、と思うし、説明的な台詞もキャラ的に多いし、最初にクローズアップされるキャラだから大変だろうな~と思うのに、完璧な理人さんであり続けてたのがすごいなぁ……と思いました。
拙者凌駕理人の同室共犯者トークがだいすき侍なのですが、それを舞台でも見ることができて大変幸せでした。

あとROAD59で涼香にぶっとばされてた狛浪組の組員さんなどなどを演じてらした、久野木さんがいらっしゃったのも個人的にうれしかったポイントのひとつでした! \レッスン🕺

 

この舞台を見て、しばらく落ち着いていた華Doll*という作品に対する熱が再びよみがえってきて、なかなか咀嚼しきれずに放っておいてしまっていた2nd season以降のドラマにきちんと向き合おうという気持ちにもなれました。きっかけをもらえてありがたかったです。
(一番見たいシーンが恐らくあるであろう)秋の続編の舞台ももちろん楽しみですし、この作品がもっとたくさんの人に愛されたらいいな……としみじみ思いました。

また秋にAnthosのみんなにお会いできるのを、楽しみにしています!!
楽しい御伽噺のような時間を、ありがとうございました。

しがないAntholicより